『斜め45度』で当たり前を覆す。プレミアムミキサー<TIGER EDGE>3年7か月の試行錯誤

健康を意識した朝のスムージーから、スープ、ソース、デザートまで。ミキサーは今、飲み物を作るだけでなく、毎日の料理を幅広く支える調理家電として活躍の場を広げています。一方で、食材を細かく切る下準備や出し入れ、お手入れに手間がかかると、次第に使わなくなってしまうことも。
そんなミキサーの「当たり前」を、カッターの角度から根本的に見直したのがプレミアムミキサー<TIGER EDGE>「SLB-A100」です。さらに2025年には、その高い切削性能をコンパクトな本体で追求した「SLC-A100」も登場しました。
今回は、<TIGER EDGE>シリーズが生まれた背景や開発時の試行錯誤について、商品企画担当の間谷と商品開発担当の亀井に話を聞きました。
目次
「毎日使いたくなるミキサー」を目指して

2024年7月に発売した「SLB-A100」は、タイガーのミキサーの中でも最上位に位置するフラッグシップモデルです。仕上がりを10段階の回転速度で細かく調節でき、スムージーやジュースのほか、スープやディップソースなど、幅広い料理に活用していただけます。
従来、ミキサーといえば縦型が基本ですよね。自社製品を含めて既存製品の当たり前を比較・分析していくなかで見えてきた課題が、「せっかくミキサーを使うのに、先に包丁を出して食材を細かく切らなければならない」という点でした。調理の手間を減らすための道具であるはずなのに、十分に減らせていないのではないかと考えたんです。そこで私たちが目指したのが、大きめにざっくり切った食材でも、しっかりと切削できるミキサーでした。
もうひとつの課題は、ミキサーが棚や引き出しに仕舞い込まれやすい家電だということです。一度片付けてしまうと取り出すのが面倒になり、使う頻度が下がってしまいます。そのため<TIGER EDGE>シリーズは、できるだけキッチンに出したまま使っていただけるよう、黒を基調にシルバーを効かせたシンプルで上質なデザインに仕上げています。
食材と水流の流れを変えたミキサーのカッター角度「斜め45度」

<TIGER EDGE>シリーズは、当社の中で「プレミアムミキサー」という位置づけの商品です。決して安価ではない商品だからこそ、お客様の期待にしっかり応えなければなりません。ストレスなく快適に使っていただけることが、お買い上げいただいた価格へのお返しだと考え、特に切削性能は妥協なく追求しました。
最も大きな工夫点は、カッターの「角度」です。一般的な縦型ミキサーでは、食材がカップの側に沿って横回転しながら上昇し、中央から落ちてきたところで再び刃に当たります。しかしこの流れでは、食材が上がってから落ちてくるまでにどうしても時間がかかってしまうんです。そこで、より短時間でなめらかに仕上げるために着目したのが、カッターの角度と水流の関係でした。

カッターを斜めに配置すれば、食材が真上へ向かって流れ、そのまま下へ落ちる「縦方向の流れ」が生まれ、食材が効率よくカッターに当たって切削性能を高められるのではないかと考えました。ただし、カッターを真横に傾けすぎてしまうと、重力によって食材が下に落ち、刃にうまく当たりません。30度や60度など、最適な角度を探りながら試作と検証を重ね、最終的にたどり着いたのが「45度」でした。「SLB-A100」の開発には、約3年7か月を要しました。
同時に、カップの形状も工夫しています。カッターから立ち上がった水流の先にカップの壁があると、食材がぶつかって流れが途切れてしまいます。そこで、カッターの真上にスムーズなスペースができるよう、垂直のカップから45度傾けたカッターへと綺麗なカーブを描いてつながる形状を設計しました。
冷凍フルーツにも負けない、厚く丈夫なカッター

「SLB-A100」の開発当初、主な市場として想定していたのは北米でした。スムージーが日常的に飲まれ、冷凍フルーツも広く流通している北米では、凍った食材をそのまま調理できることが重要な条件になります。一度に多く作り、大容量のボトルに入れて持ち出す使い方も珍しくありません。しかし、一般的な国内向けのミキサーでは、刃が欠ける危険性があるため冷凍フルーツや市販の氷は使用不可となっていることが多いんです。
そこで硬い食材もパワフルに砕けるよう、カッターの厚みを従来品の約1.5倍にしました。また、刃の先端がギザギザしている波刃は食材に食い込みやすい反面、先端に負荷が集中しやすい面があります。包丁のような「平刃」にすることで、高い切削性能と丈夫さを両立させました。
この高い切削性能を支えるため、モーターのパワーも引き上げています。モーターの大型化による振動や重心バランスへの影響を抑えるため、内部の構造面でも細かな調整を重ねました。
3本のリブが生み出す「サイクロン水流」
2025年10月に発売した「SLC-A100」は、1~3人分での利用を想定し、高い切削性能とコンパクト性を両立したモデルです。本体をスリムに見せるため、下側を絞り上部に向かって広がる形状にしています。ただ、足元を狭くすると設置面積が狭くなり、安定性を保つことが難しくなります。運転時に本体が揺れないよう、内部の部品配置や重心、通気口の位置などを見直し、本体形状を細かく調整しました。また、カップの取っ手を真横ではなく斜めの位置に設けることで、横幅を抑えています。

コンパクトになっても高い切削性能を保つため、「SLC-A100」のカップの内側には高さの異なる3本のリブを設けています。高さの異なるリブを順番に通過することで、水流に高低差が生まれる仕組みです。高く持ち上がった食材がカップ内を旋回しながら落下し、再びカッターへ戻るという循環を繰り返すのが「サイクロン水流」です。リブは2本や4本といった複数の案を検討しましたが、切削性能を高めるうえでは、3本の組み合わせが最も有効でした。
さらに少量の具材でも刻み残さずしっかり切削するため、カッターと底部の隙間をできるだけ詰める工夫も施しています。カッターの上刃と下刃の角度を13度ずらして配置し、下刃の水平部分の長さをミリ単位で調整することで、刃がカッター台の面に限りなく近い位置を通るように設計しました。
毎日使うミキサーに欠かせない、お手入れのしやすさと安全性

毎日使っていただくために、お手入れや組み立てのしやすさも徹底的に意識しています。「SLB-A100」のカップは内側に水流を生み出すためのリブがないため、スポンジで洗いやすくなっています。3本のリブがある「SLC-A100」も含め、両機種ともカップとふたは食器洗い乾燥機に対応しています。
また、パーツを組み立てる際のわかりやすさも重要です。例えば、パッキンを間違った位置や向きに取り付けると水漏れにつながるため、組み立てたときに直感的に間違いに気づける設計に工夫しました。

さらに、高速でカッターが回転する家電だからこそ、安全性への配慮も欠かせません。法律上はふたがあいていても指が刃に当たらない試験をクリアすれば通電することは問題ないとされていますが、万が一の危険性を想定してふたが閉まっていないと動作しないように設計しています。機構は異なりますが、どちらのモデルもふたを正しく取り付けなければ運転できない安全ロック構造を採用しています。
日々の食卓に寄り添い、「幸せな団らん」を支える<TIGER EDGE>

発売後、お客様からは好評の声を多数いただいています。「りんごが丸ごとミキシングできる実演をみて購入に踏み切りました」「冷凍フルーツや氷をそのままスムージーにできる点がとても気に入っている」といった仕上がりのなめらかさへの評価はもちろん、「お手入れが非常にしやすい」「カップが軽くて扱いやすい」という点でもご満足いただいています。
コンパクトな「SLC-A100」は、キッチンや部屋に置いても場所を取りにくい点が好評ですね。これまでミキサーを使っていなかった方が健康を意識して、スムージーを飲むために購入されたり、お子様からのリクエストをきっかけに手に取ってくださったりするケースも増えています。
ミキサーの使い方は、人によってさまざまです。例えば「SLB-A100」なら、朝にフルーツや野菜のスムージーを作り、夕食時にはポタージュやパスタソースを一品加え、食後には冷凍フルーツを使ったデザートを作る、といった1日を通した使い方が可能です。離乳食や介護食づくりにも役立てていただけると思います。
また、「SLC-A100」なら、朝、冷凍フルーツを使って付属のパーソナルカップで直接1人分のスムージーを作り、飲み口をつけてそのまま飲むことで、グラスに注ぐ手間や洗い物を減らすといったスタイリッシュな使い方も想定しています。
一日を通して活躍できる商品ですので、ぜひキッチンに出したまま、食卓のすぐそばで使っていただきたいです。
スムージーだけでなく、さまざまな料理に活用していただくことで、<TIGER EDGE>がお客様の「幸せな団らん」に寄り添う存在になったら嬉しいですね。

プロフィール
亀井 大雅 / かめい たいが
タイガー魔法瓶株式会社 商品開発グループ 開発第4チーム

プロフィール
間谷 仁美 / かんたに さとみ
タイガー魔法瓶株式会社 ソリューショングループ 商品企画チーム