お米の豆知識

食べ物の資格はたくさんある!栄養・食事・食材に関する資格を紹介

現代社会において、食材の安心安全や健康への関心の高まりとともに、食べ物に関する資格も大きくクローズアップされています。「食の専門家」たちの活躍は、美食、医療、スポーツ、教育、流通など、多彩な分野へと広がりを見せており、私たちの暮らしにおいても身近な存在となりました。豊かで健康的な食生活のために正しい知識を提供する専門家たちですが、関心のある方は自身が専門家の立場になるという選択肢もあります。どのような食べ物関係の資格があるのか見ていきましょう!

お米に関する資格

日本人の主食・お米。いかにお米を美味しく炊き上げ、いかにおいしく食すかは非常に関心のあるテーマです。「お米の国」だけあり、お米に関連する資格も充実しています。ここではその中からいくつかご紹介します。

米・食味鑑定士

「食味」「品質」「栽培法」によりお米を厳格に鑑定し、消費者に安心・安全で美味しいお米を提供するという役割を持つ「米・食味鑑定士」。全国津々浦々の多彩な品種や産地について知識を深め情報発信などを行います。また、生産者に寄り添い、消費者ニーズの傾向など分析データを情報提供したり、担い手不足など稲作をとりまく課題に取り組んだりといった役割も。地方再生や自然保護もふまえた上での国内の「お米産業」全体の発展を支える活躍が求められます。

米・食味鑑定士は国内外から注目されており、日本以外にもアメリカ・中国・台湾などからも資格を取得する人が出てきています。

2日間にわたる講義・実習の受講後、試験を合格することで取得できますが、お米に関して相当の知識が必要。資格取得者は米穀店や生産者、流通関係者などお米に関わる仕事に就いている人がほとんどです。有資格者は前述の食味・品質・栽培法の「基準を満たす」と鑑定したお米の袋に、自身の名前を記入した協会発行のラベルを貼ることができます。自らが「お墨付き」を与えたお米を、たくさんの人々に味わってもらえるわけです。

2000(平成12)年より「米・食味分析鑑定コンクール」が開催されており、今や国際大会に。国内外より出品されたお米の品質や味わいを総合的に評価して生産者を表彰するというもので、「米・食味鑑定士」が審査を担います。現在、お米に関するコンクールとしては国内最大級で、2019(令和元年)年の第21回大会では5,000以上もの検体が出品されました。

金賞、特別優秀賞など、コンクール受賞米には協会認定の「”極献上”米袋」が使われたり、米袋に受賞ラベルが貼られたりしています。例えば2018年、第20回大会の「国際総合部門」では20検体が金賞、25検体が特別優秀賞に輝きました。「和仁農園(岐阜県高山市)」「上納米グループ(長野県伊那市)」「奥出雲仁多米(島根県奥出雲町)」など、「米・食味鑑定士協会」Webサイト(https://www.syokumikanteisi.gr.jp/kako-kon/kako-kon-2017kekka.html)にて受賞した生産者と品種が紹介されていますので、ぜひチェックしてみましょう。

お米マイスター

田んぼで栽培され、口へ運ぶまでのあらゆる過程に精通するのが「お米マイスター」です。日本米穀小売商業組合連合会の認定資格で、応募には同組合の加入者や認定者、米穀小売業従事者など「お米に携わる仕事をしていること」が必要です。認定講座受講の後、検定試験をクリアすれば晴れて「三つ星お米マイスター」を名乗ることができます。上級資格の「五つ星お米マイスター」も存在します。「五つ星」は、品種・品質の判別能力、成分の説明、精米技術など、お米全般の知識を熟知しており、かつ確かな技術を持っているかを問われる超難関。試験は試験官との1対1で、すべて口答で行われます。

ごはんソムリエ

公益社団法人「日本炊飯協会」が認定する「ごはんソムリエ」。「ご飯に関する幅広い知識の普及啓発を行い、ご飯の良さを見直してもらい、米の消費・食料自給率向上に繋げる」ことが目的であるとしています。 認定試験は年に1回、2日間にわたる講義と食味実習の後、筆記試験および食味試験について一定水準以上の成績を納めると認定されます。試験では、ごはんの栄養や衛生管理、炊飯など、米やご飯にまつわる幅広い知識を問います。

雑穀エキスパート

雑穀に関する体系的な知識を修得したと認定する「雑穀エキスパート」。講座は年1~2回の頻度で開催されています。講座では、キビ、アワ、ヒエなど主要な雑穀の特徴および栽培方法の知識をはじめ、市場性や食品表示など、幅広い知識が身につくカリキュラムを展開。雑穀の生産や加工に携わる企業関係者、管理栄養士、スポーツインストラクター、主婦など受講者の属性もさまざまです。

水田環境鑑定士

近年、食べ物の安全性への関心が高まっています。「水田環境鑑定士」は、お米を育てる上で大切な水田の水を鑑定することを通し、水田の安全性と豊かさを証明することを目的としています。水田環境鑑定士は水の鑑定にとどまらず、環境に影響を受けやすいとされる「昆虫」「魚類」「鳥類」などの観察記録も半年にわたり行います。

栄養に関する資格

病中病後のサポートのみならず、生活習慣病とその予備軍の増加や高齢化社会における健康寿命の延伸など、今日の社会において栄養管理の重要度は増すばかり。栄養関連の国家資格所有者は、医療・高齢者施設や地方自治体の関連部署などでは不可欠な存在といえます。一方の民間資格では、家庭での食生活に役立ったり飲食店や小売店の運営において付加価値となったりする資格が注目を集めています。

管理栄養士

「管理栄養士」は厚生労働大臣免許の国家資格。栄養・食・健康のエキスパートです。健康な人はもちろん、病気療養中や高齢で通常の食生活が困難という人などに対し、一人ひとりの健康状態や生活環境に寄り添った栄養指導や給食・栄養管理を行います。高校卒業後に管理栄養士養成施設で4年間学び、国家試験合格によって資格取得となります。

栄養士

「栄養士」は栄養学に基づいた指導や給食献立の作成などが可能ですが、対象者は主に健康な人に限られます。専門養成施設で2~4年間学ぶことで、都道府県知事免許の栄養士資格を取得できます。その後、実務経験を積む(養成施設での修業年数により1~3年)ことによって国家試験の受験が可能となり、管理栄養士へキャリアアップできます。

アスリートフードマイスター

アスリートのパフォーマンスを最大化するために、最適な食プログラムを提供する人材を意味する「アスリートフードマイスター」。一般社団法人日本アスリートフード協会が認定する資格です。競技者や競技者のサポートをしている人物、スポーツ愛好者などの資格取得を想定しています。資格は「スポーツのための食事学」の基礎知識を中心に学ぶ3級、アスリートの食事マネジメントを担える人材を目指す2級などに分かれます。パフォーマンスを最大化するために「年齢別」「競技別」「タイミング別」の食プログラムを提供できる点も、この資格最大の特徴の一つです。

野菜ソムリエ

野菜や果物を目利きして、美味しさはもとより栄養や素材に合わせた調理法などを消費者に伝える「野菜ソムリエ」。日本野菜ソムリエ協会が認定する民間資格です。食の安心・安全という視点から人気が高まっており、講座受講、試験を経ての取得が可能です。職業的な活動や起業を目指す人を対象とする「野菜ソムリエプロ」「野菜ソムリエ上級プロ」もあります。

食事に関する資格

日本では、飲食店のみならず家庭の食卓でも気軽に世界各国の料理が楽しめるようになりました。反面、食生活は欧米化が進み、子どもは栄養摂取の偏り、大人は生活習慣病の発症リスクの増大という問題も生まれています。文部科学省も2005(平成17)年に「食育基本法」を制定するなど、食習慣の改善や食に関する正しい知識の普及・啓発活動を推進。健康的な食をサポートする資格も次々に誕生しています。

食育インストラクター

NPO法人日本食育インストラクター協会による民間資格です。「食育」の知識を日々の生活に活かし、食の大切さや栄養バランス、健康と食の関係、地域の食文化などについて普及・推進させる役割を担います。クラスは5段階あり、入門的な「プライマリー」は通信講座修了のみで取得可能。4級以降は試験、通学や研修、調理実習などが課せられます。

食生活アドバイザー

一般社団法人FLAネットワーク協会による民間資格です。個々の食材、栄養、衛生管理、食文化など、食に関連する様々な知識を身につけて多角的な視点で健康的な食生活をサポートします。いわば「食生活全般のスペシャリスト」です。2階級のクラスがあり、各自教材で学習した後、検定試験(年2回実施)の合格によって取得できます。

薬膳コーディネーター

健康面のみならず美容効果への期待から、中医学、薬膳、漢方に関する資格も人気です。本草薬膳学院による民間資格「薬膳コーディネーター」は、3000年以上の歴史といわれる中国の薬膳についての知識を修得でき、薬膳レシピなどで健康的な食生活をサポート。通信講座の受講・試験で取得可能です。

人生を豊かにしてくれる「食関連」資格

あなたは「食」という一文字から何を連想しますか? 「お米」「農業・漁業」「嗜好」「文化」「健康」「安心・安全」など、きっとその回答は人それぞれ無数に存在することでしょう。比例して、食べ物に関する資格も国家資格のみならず民間資格においては非常に多岐にわたります。専門職として活躍したり、経営多角化や起業などビジネスに活かしたり、はたまた家庭で役立たせたり、趣味・嗜好について徹底的に知識を極めたり。いずれも共通しているのは、人生を豊かにしてくれるという点でしょう。「食べる」という行為は幸せを感じるひとときでもあります。日々の食生活をより楽しくより幸福にするためにも、資格取得にチャレンジしてみてはいかがですか?