産業機器ソリューション 導入事例
宇宙実験サンプル格納用 真空二重断熱容器
宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同開発。
温度維持と高い耐久性を実現。

開発背景
国際宇宙ステーション(ISS)から地上に物資を回収する小型再突入カプセル(JAXAが宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機へ搭載のために開発)において、貴重な宇宙実験サンプル等を格納する真空二重断熱容器の開発を担当。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進める小型回収カプセルのミッション概要(JAXA提供)
回収カプセルで真空二重容器に求められる機能・性能
- 冷蔵が必要な実験サンプルを既定の温度範囲で維持する高い断熱性能(4度±2度の範囲で4日間以上)
- カプセルが海上に着水する際の強い衝撃に耐える高い強度(40G)
小型回収カプセルの構成とカプセル用真空二重断熱容器の概要



断熱容器開発と小型回収カプセルの経緯
※日時はすべて日本時間です。
- 2014年4月
- JAXAより「産業機器に関するお問い合わせ」宛てに真空容器の特注品の製造について問い合わせがあり、可能である旨を回答。
- 2015年11月
- JAXAより再び連絡あり。
「4度±2度の範囲で4日間以上の断熱。かつ最大40Gの負荷」という、通常のまほうびんでは考えられない極めて高度な要求に対し、当初技術者陣は困難と考えていたが、「我々がやらなければこの計画自体がなくなってしまう」との思いから、参画を決意。 - 2015年12月
- JAXAとの共同開発スタート。議論・解析を経て温度実験用の試作・性能検証を繰り返す。
- 2016年8月
- 3台目の試作品で、容器の断熱性能と保冷剤により「4度±2度の範囲で5日間の保冷」に成功。
- 2016年11月
- JAXAからの要求事項を満たすフライト品の開発に着手。
試作品の保冷性能と強度を維持したまま「10.195kg以下」という目標に向けて軽量化を目指す。 - 2017年5月
- 試作品一号機の17.8kgから約45%軽量化したフライト品をJAXAに納品。
- 2018年7月13日
- 「こうのとり」7号機(HTV7)の打上げ発表
http://www.jaxa.jp/press/2018/07/20180713_h2bf7_j.html - 2018年9月11日
- 地上局(グアム局)天候悪化の予想により打上げ延期
- 2018年9月14日
- 天候悪化の予想により打上げ延期
- 2018年9月15日
- ロケットの推進系統確認のため打上げを中止
- 2018年9月20日
- 天候悪化の予想により打上げ延期
- 2018年9月23日
- 2時52分27秒 打ち上げ成功
- 2018年9月28日
- 国際宇宙ステーション(ISS)との結合完了
- 2018年11月8日
- 国際宇宙ステーション(ISS)から分離
- 2018年11月11日
- 6時14分 大気圏に再突入。
宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)のミッション完了。小型回収カプセル(HSRC)の回収の様子
(写真:JAXA提供)小型回収カプセル(HSRC)で回収されたペイロード収納容器から真空二重断熱容器(魔法瓶構造)を取り出す様子(写真:JAXA提供)
- 2018年11月13日
- 4時50分 小型回収カプセルの「実験試料」が南鳥島に接岸
- 2018年11月13日
- 5時17分 「実験試料」が航空機により南鳥島を出発
- 2018年11月13日
- 9時42分 「実験試料」が筑波宇宙センターに到着
- 2018年11月17日
- 16時頃、「小型回収カプセル本体」を積んだ輸送車両が筑波宇宙センターへ到着
小型回収カプセル(HSRC)に関する記者会見で公開されたペイロード収納容器や真空二重断熱容器(魔法瓶構造)等(写真:JAXA提供)
- 2018年11月27日
- 日本で初めてのISSからの物資回収に成功したことを発表。
本事例が第2弾のミッションにもつながりました。
第2弾の詳細はこちら
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