おいしいごはんの炊き方

<開発担当者が解説!> 美味しい玄米の炊き方を教えます

健康に対する関心が高まる中、ビタミンやミネラル、食物繊維など体にとって必要な栄養素を豊富に含んだ玄米に注目が集まっています。でも、白米とは異なる食感や炊き方の難しさに苦手意識を持っている人もいるのではないでしょうか?どうすれば美味しい玄米ごはんを炊けるのか、そのポイントを解説します。

玄米について(基本情報)

栄養たっぷりで工夫次第では美味しく楽しめる玄米。ここでは、玄米の基本的な知識を身につけましょう。

玄米と分づき米と白米の違い

稲穂を乾燥させた「もみ」からもみ殻を取り除いたものが玄米です。玄米の表面を覆っている糠を削り取ることを精米といい、通常私たちが食べている白いお米は精米した後の精白米(白米)と呼ばれるものです。お米には「コシヒカリ」「ゆめぴりか」「あきたこまち」などたくさんの品種がありますが、玄米と白米はお米の品種の違いではなく状態の違いです。

白米より玄米のほうが栄養豊富といわれるのは、玄米には栄養が多く含まれる糠と胚芽が残っているためです。

また、玄米と白米の間には分づき米というものがあります。お米は精米の度合いによって「玄米・3分づき・5分づき・7分づき・白米」に分かれており、「3分づき・5分づき・7分づき」が分づき米となります。数字が大きくなるにつれて糠と胚芽の量が減り、白米に近づいていきます。

玄米よりは栄養が少なくなりますが、白米より栄養が含まれているのが分づき米です。

玄米は糠で覆われている分、白米に比べて食べる際に若干の硬さがあるため、しっかり噛まなければ消化不良を起こすこともあります。消化不良を起こさず栄養素を取り込むためにも、しっかりと噛んで食べることが大切です。玄米が食べにくい方は、分づき割合を変えたり雑穀を混ぜたりして、無理なく食べ続けられる方法を探すのもおすすめです。

完全栄養食としての玄米

完全栄養食として関心を集める玄米ですが、栄養成分は糠と胚芽に多く含まれています。玄米に多く含まれているのがビタミンB群(特にビタミンB1)です。ビタミンB群は体の中でエネルギーを創り出すために必要不可欠な栄養素。中でもビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際に必要なもので、糖質の多いお米を食べる際にビタミンB1を同時に摂取できる玄米は、理にかなっているといえます。

もう一つ、豊富に含まれているのが食物繊維。白米の約6倍含まれています。玄米に含まれている食物繊維は「不溶性食物繊維」です。これは腸内で水分を吸収して膨らみ、腸壁を刺激し「蠕動(ぜんどう)運動」を活発にし、お通じを良くしてくれます。

一方で、ミネラルも一緒に排出されてしまうといったマイナスな面もありますので、玄米を食べるときは、他の食材とのバランスを考えたり、体調を確認しながら食べるようにしましょう。

玄米を美味しく炊く方法

玄米

「玄米」メニューが搭載されている炊飯ジャーなら、玄米も白米同様、洗米して玄米目盛で水加減するだけで炊けるので、手軽に続けたい方にはおすすめです。

一方、「玄米」メニューのある炊飯器以外で炊く場合は工夫が必要になってきます。玄米は白米とはお米の状態が異なるため、白米と同じように炊いてしまうと固くボソボソとしたごはんになってしまい美味しく食べられません。白米を炊く場合とどこが違い、どこに注意すればいいのか、ポイントを説明します。

まず、お米を計る際の計量ですが、これは白米の場合と変わりません。米用の計量カップで1合、2合と計るとよいでしょう。

次に、計量した玄米をざるやボウルに入れて洗います。水の中を流すように軽くかき回して、浮かんできたホコリなどを取り除きます。この後、両手ですくいあげて、軽くこするようにもみ洗いします。

玄米は基本的に研ぐ必要はないのですが、玄米を研ぐことにより表面を覆っている糠の部分に傷がついて吸水しやすくなり、炊き上がりがふっくらする効果があります。もみ洗いだけでなく表面を傷つけるように強めに研ぐこともおすすめです。ただし、炊飯器の内なべで強く研ぐとコーティングはがれの恐れがありますので、ざるやボウルを使いましょう。しっかり研いだ時の濁ったとぎ汁は玄米の風味を悪くしますので手早く水を替えてください。

洗った玄米を炊飯器などに移し、水を入れます。玄米は硬く、また食物繊維が含まれているため、白米に比べて水を多めにする必要があります。
塩を入れる場合は、このタイミングで入れます。目安として玄米1合あたりひとつまみ程度です。塩を入れることで水の吸収を促進します。また、玄米に含まれるカリウムの苦味を中和して美味しさを引き出す効果もあります。

続いて水につけておく時間です。玄米は硬く、食物繊維が水を吸収するのを邪魔します。したがって米の中心部まで浸水させるには白米よりも長時間つけておく必要があります。白米だと通常30分から1時間程度つけておきますが、玄米の場合は最低でも2~3時間はつけておいてください。(※夏場は冷蔵庫、涼しい時期は常温で浸水させてください。)特に寒い季節の場合は浸水に時間がかかりますので、5~6時間以上つけておく必要があります。
夜寝る前に浸水させておいて朝に炊いたり、朝出かける前に準備して夜スイッチを入れても良いかもしれません。
また、浸水する際に40℃程度のお湯を使うとつけ置き時間の短縮につながります。ただし、炊飯する前には浸水した水を捨て、冷たい水に入れ替えてからセットしてください。冷たい水から沸とうさせたほうが、玄米が美味しく仕上がります。

つけ置きが終わったら炊いていきます。炊飯器で炊く場合、白米は通常30分から1時間ほどで炊きあがりますが、玄米は糠で覆われている分、75~90分ほどかかることが多いです。(※炊飯器によって時間は異なります)

<タイプ別> 炊き方のポイント・コツ

・炊飯器で炊く場合

玄米を内なべに入れ、玄米用の目盛りを目安に水を入れます。
炊飯器の「玄米」メニューを押して、セットします。「玄米」メニューには吸水の工程が含まれているため、吸水させずにすぐにスイッチを入れて炊くことができます。ただ、「玄米」メニューで炊いてみて硬いと感じた場合は、事前に2時間ほど吸水させてみても良いでしょう。

・炊飯器で玄米と白米をいっしょに炊きたい場合

玄米と白米では硬さや水加減、炊く時間などが異なるため、そのままではいっしょに炊けません。先に玄米だけを1~2時間つけおきして吸水させておく必要があります。これで通常の炊飯器の「白米」メニューで炊いても玄米だけが硬くなってしまうことがありません。(※ただし、玄米のほうが多い場合は、「玄米」メニューで炊いてください。)

炊くときの水加減は、「白米」メニューの水の量より多めにしましょう。玄米の比率を高めた場合は、水の量を増やすことで、どのような割合でも同じように炊くことができます。

・土鍋で炊く場合

まず中火にして沸騰するまで待ちます。沸騰したら弱火にします。鍋の穴から出ていた蒸気が次第に弱くなってきたら、一度蓋を開けて水分が残っているかどうかを見ます。なくなっていたらOK。しばらく強火にして水分を飛ばしてから蓋をして蒸らします。

・圧力鍋で炊く場合

しっかりと蓋をして、圧力を調整できる鍋では高圧に設定し、まず強火で炊きます。十分に圧力がかかったら弱火にします。このときに蒸気がたくさん出るようなら火が強すぎるので、調整してください。最後に強火にして炊き上げ、水分を飛ばしてから火を止めて蒸らし、圧力が抜けるのを待ちます。

玄米が美味しく炊けなかったときに確認したいポイント

玄米ご飯

玄米に芯が残って、美味しく炊けなかったことはありませんか?炊き上がった玄米ごはんに芯が残っているのは、米の中心部がしっかり水を吸収しなかったためです。吸水の時間を増やす、水ではなくぬるま湯にしてみるなど、吸水加減を調整してみましょう。
圧力炊飯器で炊いて芯が残っていると感じた場合は、お米や水の量が正しいかどうか、もう一度確認してみましょう。圧力釜や土鍋で炊いたときに芯が残っている場合は、炊く時間が短かった可能性や、最後の強火で水を飛ばすのが不十分だったこと、炊き上がった後の蒸らし時間が短いことなども考えられます。

自分好みの玄米ごはんを

玄米は白米と違って、硬くて食べにくく、少々扱いが面倒な側面もあります。しかし、ビタミンB1や食物繊維を豊富に含んでおり、しっかり噛んで食べるとほのかに甘みがあります。白米といっしょに炊いたり、水加減で柔らかさを調整したり様々な工夫をすることで美味しく炊くことができます。
いろいろ試してみて、自分好みの玄米ごはんを見つけてくださいね。

回答者:ごはん隊長

ちょっと余談

タイガー魔法瓶の「精米器 RSF-A100」は玄米に少し傷をつけて精米する「やわらか玄米」コースがついていますので、炊飯器の白米メニューでも玄米を食べやすい柔らかさで炊飯することができます。