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100th Anniversary タイガー魔法瓶 100年のあゆみ

Top Interview

トップインタビュー

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世界中に幸せな団らんを広める。

2023年、弊社は創立100周年を迎えました。
いつの時代も、私たちはお客様の暮らしを快適に、
便利に、そして豊かにする製品をご提案してまいります。

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ご挨拶

お客様をはじめ、お取り引き先企業、従業員、関係者の皆様のおかげをもちまして、タイガー魔法瓶は、創立100周年を迎えることができました。深く感謝を申し上げます。
これからの50年、100年、さらなる先を見据えて、弊社の目指す姿について述べさせていただきます。

代表取締役社長代表取締役社長

菊池嘉聡

菊池嘉聡 きくち よしさと

1987(昭和62)年甲南大学経営学部卒、タイガー魔法瓶入社。1997(平成9)年に取締役。
1999(平成11)年4月より現職。全国魔法瓶工業組合理事長などを歴任。

創業からの100年を振り返って

創業からの100年を振り返って

タイガー魔法瓶が歩んできた100年の歴史について、
どのように思いますか?

1923(大正12)年、祖父の菊池武範が「虎印魔法瓶製造卸菊池製作所」を創業しました。家族を中心に、わずか4人でのスタートです。その年の関東大震災で、お客様に納品していたガラス魔法瓶が一つも壊れなかったことが評判を呼び、関東圏で急上昇した認知度は、その後全国に広まりました。さらに、独創的な工夫と真摯なものづくりによって、ぜいたく品だった魔法瓶を日常品として一般家庭に広めてまいりました。祖父から事業を引き継いだ父の菊池嘉人は、炊飯器や電気ポットなどの調理家電製品群を幅広く展開し、いわば「第2の創業」ともいえる事業拡大を成し遂げました。私は1999(平成11)年に3代目として事業を引き継いでいます。

弊社が製造、販売する製品群は、日々の暮らしに必要な家庭用品や生活用品が中心です。家庭用品の業界は、景気の浮き沈みによる影響を比較的受けにくいと言われていましたが、21世紀以降は、買い換えサイクルの長期化、少子高齢化、市場経済のグローバリゼーションなど、従来よりも多様な価値観が需要に作用する場面が増えてきました。

また、新型コロナウイルスの流行、地球温暖化、国際紛争など多くの困難があり、人々にとって未経験の厳しい時代が続いているとも感じます。しかしながら、時代の変化の中にあってもタイガーのものづくりの基本的な姿勢は変わりません。これからもお客様に愛される製品をつくり続け、さらなる飛躍を目指して挑戦してまいります。

時代が変わっても、
変わらない精神

時代が変わっても、変わらない精神

タイガー魔法瓶のものづくりを支える理念について、
改めて教えてください。

弊社には、菊池武範が1948(昭和23)年に制定した「恩恵拝謝」「最良品質」「清掃整頓」など32項目にわたる社是社訓があります。
私にとって祖父でもある武範は、一家を支えるため高等小学校も卒業せずに働きに出て、資金も、つてもないという全くゼロの状況から苦労して事業を立ち上げました。そのためか、社是社訓の半分は後の世代に向けた「家訓」ともなっています。それらの内容は全て正しいことを説いてはいるのですが、難解な四文字熟語ゆえ、中にはとっつきにくい印象をもたれる方も多いかもしれません。そう考えて、創立90周年を迎えた際に、創業時から受け継いできた組織のDNAを紐解き、現代流に解釈した新たな理念「バリュー」「ミッション」「ビジョン」として再構築しました。
タイガー魔法瓶が生まれた原点、それは武範が幼少の奉公生活で思い描いた「母さんの淹れたような、あたたかいお茶が飲みたい」という団らんへの憧れにありました。世界中のお客様に幸せな団らんをお届けしたい――その思いを当社の「バリュー」として、「本質をきわめた独創性」「誠実をきわめた信頼性」の2つに言語化しました。
「ミッション」とは私たちの使命です。「温もりあるアイデアで、食卓に新たな常識をつくり続ける」ことを、社会に対して担うべき役割と認識しています。
「バリュー」と「ミッション」から導かれる「ビジョン」が「世界中に幸せな団らんを広める。」であり、この「ビジョン」達成に向けて私たちの製品やサービスの価値を伝えていきたいと考えました。
歴史を重ねていく上で、事業本来の意義や目的を見失ってしまうことのないよう、私たちの価値、使命、未来を再定義し、100周年を超えた飛躍につなげたいと考えたのです。

人々の暮らしと
「温度」に寄り添うことで
生まれた製品

人々の暮らしと「温度」に寄り添うことで生まれた製品

これまでさまざまな製品を生み出してきましたが、
タイガー魔法瓶が考える”本質的価値”とは何ですか?

弊社の根幹は、「温度」に関する技術です。一つは、電気を使わずに熱いものを熱いまま、冷たいものを冷たいまま保温・保冷する「真空断熱技術」。もう一つは、電気を使い温度を制御する「熱コントロール技術」。この二つの技術を極めるとともに、時にはそれぞれを組み合わせることにより、新たな付加価値を創り上げてきました。

「本質をきわめた独創性」を表す製品の一つに、1970(昭和45)年に発売し、食卓に革命をもたらした電気ジャー「炊きたて」(現在の電子ジャーの第1号商品)があります。「炊きたて」は50年を超える炊飯器ブランドですが、中でも2006(平成18)年に発売した土鍋のIHジャー炊飯器「炊きたて」は、その本質である「ごはんのうまみ」を引き出すには「土鍋」と「IH」を組み合わせるしかない、との思いから生まれました。技術的課題を一つずつクリアしながら従来の炊飯器では成しえなかった高火力を実現し、その上で香り高くお米を炊き上げるための試行錯誤を繰り返し、開発に延べ3年も費やしてようやく発売に至っています。

また、2018(平成30)年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)様と実施した共同開発も弊社にとっては大きな出来事でした。宇宙ステーション補給機「こうのとり7号機」に搭載され、国産で初となる地球への無人帰還を果たした小型回収カプセルの真空二重断熱容器を開発いたしました。真空二重断熱という弊社独自の技術力を評価していただけた結果だと、大変ありがたく受け止めるとともに、誇りに思っています。

「誠実をきわめた信頼性」という面では、長くご愛用いただけること、ケガや事故の心配がない安全な道具であることも大切です。たとえば熱湯を扱う電気ケトルや電気ポットは、安全・安心を最優先に開発し、転倒お湯もれ防止構造や高温蒸気を出さない蒸気レス構造などを採用しています。また炊飯器などでは、お手入れの簡便さも追及しています。ご不安やご不便を解消するアフターサービスのさらなる向上には何が必要かなど、常にお客様の立場に立って、細心の注意を払っています。

なにげない毎日のシーンに、タイガーの製品を届けたい。私たちが大切にしているのは、日常生活の中で愛される製品をつくり続けることです。この企業理念を根本に、私たちは人を大切にし、事業を育てます。その思いは今後も変わることはありません。

社会の課題解決に貢献する
メーカーでありたい

社会の課題解決に貢献するメーカーでありたい

これから企業に求められる役割について、
タイガー魔法瓶はどのように取り組んでいきますか?

企業の在り方として近年普及したESG、SDGsがありますが、私たちにとっては、もともと持っていた指針でしたので、具現化することで社会に貢献したいという思いが常にありました。

2020(令和2)年には、人権、健康、環境などの社会的課題への取り組みとして、真空断熱ボトル製造において「武装勢力などの資金源となる紛争地域で採掘された規制鉱物を使わない」と宣言しました。これを基に「NO・紛争鉱物」、環境負荷の高いフッ素コートを使わない「NO・フッ素コート」、自社工場生産によってお客様の健康を守る品質を担保する「NO・丸投げ生産」、そしてマイボトルの愛用でペットボトル消費を削減する「NO・プラスチックごみ」という、社会に対しての「4つの約束」を掲げています。これらを「サステナブルアクション」として推進しています。

また、2021年からは京都府亀岡市様と共に、使用済みステンレス製ボトルを回収し、再資源化するサーキュラーエコノミーの取り組みをスタートしました。これには、共感いただいた販売店様も参加してくださっています。対象は自社製品に限らず、すべてのメーカー製品としています。

弊社内では「社内ペットボトル使用ゼロ」活動を始めています。ペットボトルは、回収後にリサイクルされるのですが、まだ我が国のリサイクル率は低いという事実があります。ソフトドリンクの無料供給スポットを置く一方、ペットボトル回収用のごみ箱をすべて廃止しました。今では全員、マイボトルを利用することが日常となっています。

環境保全という社会課題については、今世紀に入ってから3R(リデュース・リユース・リサイクル)が意識されるようになってきました。市場では、良質な「本物」がこれまで以上に評価されるようになってきたと感じています。
製品に愛着を持って長期間使ってこられたお客様から「修理して大切に使い続けたい」というお声をいただくのは、製品の良さを認めていただけた結果と、メーカー冥利に尽きます。

もちろん、定期的に新製品を投入しないとリフレッシュ感がない、あるいは時間と共に商品価格が下がっていくといったイメージは市場の慣習として深く根付いています。しかし、ものづくりの思想としては、コストが多少割高であっても長く使える良い製品をつくり、その価値を認めていただけるよう努力し続けたいと思います。いよいよ商品寿命を迎えたときはリサイクルの道を辿ることになると思いますが、今後は、使っていただける期間が伸びていくと見ています。

少しでも長くご愛用いただけるように、弊社では時間をかけて補修用部品(アフター部品)の在庫を、生産終了日より業界標準である5年分(一部の製品は6年)の倍となる10年分まで充実させてきました。万が一に備えて金型を保管しているものもあります。これには時間とコストがかかるため、目の前の利益を最優先するという「ビジネスの常識」に反します。もちろん協力会社様のご理解も得なければ成り立ちません。それでも期待にできるかぎり応えるのはメーカーとしての使命であり、喜びでもあると考えています。

価値ある仕事で
魅力的な未来を切り拓く

価値ある仕事で魅力的な未来を切り拓く

タイガー魔法瓶の未来は
どうなっていくのでしょうか?

これから先、あらゆる分野でグローバリゼーションが加速していくでしょう。国内だけの競争でとどまることは想像できません。世界を見すえて挑戦的なものづくりができる、価値を創造できる人が、一層求められる時代になります。一つの企業におさまらない働き方もどんどん広がると思います。

国土がさほど広くなく、天然資源に恵まれない我が国の力の源泉は、「人」です。メーカーの核心である技術を持つ人をどれだけ育てられるかは、とても大切なことです。その思いから1997(平成9)年、公益財団法人「タイガー育英会」を設立しました。

創業者の菊池武範は、貧しさから旧制小学校しか卒業していませんでした。しかし、生涯勉学の志を失うことはなく、設計技術を学び、武範の画く設計図は、寸分の狂いもなかったといいます。現代においても技術を学ぶ意欲があり、能力もあるのに経済的な事情に苦しんでいる学生はたくさんいます。大阪の地で生まれ、育ててもらった恩返しをしたいという地域貢献の側面からも、大阪府下の技術系大学院生を支援する活動を行っています。
若者が学びに集中でき、新たな技術を生み出す環境があれば、きっと我が国を明るい未来へと導いてくれるでしょう。

このように、良い製品をお客様にお届けするだけにとどまらず、企業活動を通して人材育成にも全力で取り組んでまいります。

未来に向けて

未来に向けて

タイガー魔法瓶製品をご愛用いただいているお客様に向け、
メッセージをお願いします。

私たちは、創業からの100年間を全力で走り抜け、さらに未来へ進もうとしています。長きにわたるお客様のご愛顧にこれからも応えるため、刻一刻と変わっていく環境の中でも変わらない「バリュー」「ミッション」「ビジョン」を大切にしてまいります。

この理念に共感してもらえる人々を中心として、より強固な意志をもつチームをつくり上げていく。それこそが、私たちタイガー魔法瓶が未来に向けて、変わらずに存在し続ける条件ではないかと考えています。

「Do Hot! Do Cool!」
「ハートは熱く、頭は涼しく」
「あたたかく、カッコよく」
――次の100年へ走り続けます。



私たちの大切にする価値観や志をご理解いただき、製品やサービスを支持してくださるお客様が一人でも増えていってくれること、これ以上の幸せはありません。
温もりあるアイデアで食卓に新たな常識をつくり続ける。そして世界中に幸せな団らんを広める。


私たちはより一層、
本質を見極めた豊かな製品を
お客様にお届けしてまいります。
100年を超えて、次の100年へ。
タイガー魔法瓶のこれからに、
ぜひご期待ください。

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