おいしいごはんの炊き方

<認定5ツ星 お米マイスターが解説!>お米の保存は冷蔵庫がおすすめ

毎日食べるごはん。おいしく食べるには炊き方だけでなく、お米の保存方法も重要なポイントです。今回は、お米の味を左右する、お米の保存方法について解説します。

お米の保存状態が悪いとどうなるか

お米は保存状態が悪いとおいしくなくなります。保存状態がよくないと、お米にさまざまな悪影響が出てしまうからです。

においがつく

お米はにおいを吸収しやすいという性質があります。化粧品や洗剤、灯油などにおいが強いもののそばに置くのは避ける必要があります。においは一度ついてしまうととれません。

変色したりカビや虫が発生したりする

お米を温度・湿度が高い場所に保管すると、変色したお米が袋から出てくることがあります。これはカビが生えてしまった可能性が高いので、絶対に食べないでください。また、お米は気温が18度以上になると虫が発生しやすくなります。

食感や味が悪くなる

お米は長い間空気に触れたり直射日光・高温の場所に置いていると、乾燥して酸化します。結果、お米の食感や味が悪くなってしまうのです。また、時間の経過とともに香りが抜けたり、つやがなくなったりもします。保存状態はお米の味を大きく左右するのです。

お米を冷蔵庫で保存するメリット

お米は収穫後に乾燥させたうえで出荷されます。そのため、生鮮食品であり乾物でもあると言えるでしょう。乾燥していることもあり、お米の保存について気を配られない方もいらっしゃるかもしれませんが、実はお米は冷蔵庫での保存が適しています。ここではお米を冷蔵庫保存するメリットについて見ていきましょう。

常温保存よりも保存期間が長くなる

お米を冷蔵庫で保存すると常温で保存したときと比べて2倍から3倍程度おいしさが長持ちします。お米は人間と同じように呼吸をしています。暑いところに置いておくと体力を消耗し、涼しいところに置いておくと寝ているような状態となり劣化するのが遅くなります。冷蔵庫内は直射日光が当たらず、15度以下の涼しい環境に保たれています。この条件により、冷蔵庫はお米をおいしく長持ちさせるために適しているといえます。
とはいえ、お米を美味しくいただくためには、精米後できるだけ早く消費したほうがよいことに変わりはありません。目安は精米後、夏は2週間、冬は1か月です。

虫が発生しにくくなる

お米の天敵は虫です。虫は気温が18度以上で、かつ湿度が高くなると活動が活発になる傾向にあります。冷蔵庫の温度ですと虫は発生しにくくなるわけです。ただし、お米を買ったときにすでに袋の中に虫が入っているケースもあります。買ったお米はそのまま袋に入れておくのではなく、別の容器に移し替えて虫がいないかチェックしてから保存するのがよいでしょう。

酸化を防ぐ

お米は直射日光・高温で乾燥して酸化するもの。酸化してしまうと味が落ちてしまいます。冷蔵庫で保存しておけば日光が当たらず、かつ低温なので酸化スピードをゆっくりにすることができます。

お米を冷蔵庫保存する方法

お米を冷蔵庫保存する際に知っておきたい保存場所や米の保存容器について紹介していきます。

保存場所

冷蔵庫といっても野菜室、冷凍庫、チルド室などお米を置ける場所はいろいろあり、どこに保存するのがよいか悩むかもしれません。結論から言えば、野菜室で保管するのがベストです。ただし、そのまま入れるのは避けましょう。冷蔵庫内は乾燥しているので、お米が乾燥して、炊きあがりがパサパサになってしまいます。密閉できる容器にお米を入れてから野菜室に保管しましょう。

米の保存容器

お米の保存容器でメジャーなものが「米びつ」です。米びつは密閉性が高く、サイズが豊富にそろっているので、冷蔵庫保存には適しています。
米びつを使わない場合、ふたがついたプラスチックの容器やチャックつきのビニールパックなどを使うと密閉できて便利です。小さいペットボトルを利用する方法もあります。ペットボトルにお米を入れにくいという人は、チャックつきのビニールパックがおすすめです。

冷蔵庫保存の注意点

便利な冷蔵庫への保存ですが、注意しなければいけない点もあります。お米をただ冷蔵庫に入れておけばいいというわけではないのです。

冷気の噴き出し口付近に置かない

お米は冷蔵庫の冷気の噴き出し口付近に置かないようにしましょう。噴き出し口から出てくる冷風がお米を保存している袋に入り、乾燥してしまう可能性があります。また冷蔵庫内を偏りなく冷やすためにも、お米を噴き出し口の近くに置くのは避けたほうがいいでしょう。

全部使いきってからお米を足す

お米は全部使いきってから新しいお米を保存容器に入れましょう。使い切らずにお米を足すと、容器にぬかやごみがついていたり、虫が残っていたりする可能性があり、足したお米の劣化原因になります。

米の保存容器は定期的に洗う

お米を使いきったなら、保存容器をしっかりと洗って乾かしてから再び使いましょう。食べ物を保存するわけですから、清潔さを保つことを忘れてはいけません。また、ボタンを押すと決まった量が出てくるタイプの米びつは、お米の出口付近にごみやぬかが溜まりやすい傾向にあります。特に出口付近については清潔に保つよう心がけてください。

保存容器の選び方

お米を保存する容器には米びつがあります。米びつ以外にも密閉できるプラスチック製の容器、チャック付きのビニール袋、ペットボトル、中には牛乳パックを再利用している人もいるようです。冷蔵庫にお米を保存するときにはどんな容器を選べばよいのでしょうか。

入れる場所に合った容量

一定量のお米を保存したい場合には米びつがよいでしょう。ドアポケットに入れる2キログラム程度のものから、広い野菜室に使える5キログラム程度のものまで、大きさや形はいろいろあります。ただし、お米を保存する容器が大きいと野菜などほかの生鮮食品を入れるスペースがなくなってしまいかねません。1回にとぐ量をビニール袋に小分けして冷蔵庫に入れておくのもいいでしょう。計量の手間を省くことができます。

お米が冷蔵庫に入らない場合の対処法

お米を保存したいときに冷蔵庫が利用できない場合があります。お米は大切な食材です。適切に保存しないと味があっという間に変わってしまいます。お米の特性をしっかりとふまえて対処しましょう。

直射日光があたらない涼しい場所で保管する

お米は直射日光にあたると乾燥して酸化してしまいます。直射日光があたらない涼しい場所で保管することで、味の劣化などを防ぎます。

密閉容器

お米はにおいがつきやすい食べ物です。お米についたにおいは消えず、味がまったく変わってしまいます。冷蔵庫の外は様々なにおいが移る可能性があるので、においがうつらないように密閉した容器に入れて保管しましょう。また、密閉した容器にお米を保存するのは虫の発生を予防するためでもあります。お米を炊くために容器からお米を取り出したら、容器はすぐにしっかりと密閉しましょう。ふたやチャックを閉めずにそのままにしておくと、においがついたり虫が入ってしまうことになりかねません。

保存方法にもこだわってお米を美味しく食べよう

私たちの毎日の食事に欠かせない存在のお米は、農家さんが丁寧に丹精を込めて作ってくれたものです。お米を育てるには膨大な時間と手間がかかり、簡単に育てられるわけではありません。そんな大事なお米をいただくなら、最大限美味しさを引き出したいですよね。保存方法はお米を美味しくいただくために大切な要素です。今回紹介した保存方法でお米を保存し、これまで以上に美味しくお米をいただきましょう。

教えてくださったのは…

玄米屋ウエトミ
上田 那未さん

京都府八幡市で無農薬玄米を取り扱う「玄米屋ウエトミ」店主。米・食味鑑定士をはじめ、認定5ツ星お米マイスター、水田環境鑑定士、雑穀エキスパートなど、様々な資格を所有。