監修
株式会社 山政小山園
取締役 小山 雅由
京都府宇治市生まれ。
山政小山園のマーケティングの責任者として、
ブランドデザインや商品企画、プロモーションを手がける。
抹茶ドリンクのレシピ本出版や、
自社の抹茶カフェ 「ATELIER MARCHA」のプロデュースなど
茶製造卸業に従事しながら、「美味さ、ありき。」を信条に、
賞味品質の高い日本茶とくに抹茶を作り続けるため
様々な世代、国の人々へのお茶の楽しみ方を伝える活動を続けている。
一級建築士の資格を持ち、文化・芸術・デザインへの関心も強い。
抹茶づくりへの思いと信念
スーパーフード 一般として世界的に注目を浴びる抹茶。
日本茶の三大産地のひとつである宇治で、江戸期からの歴史を有する「山政小山園」の小山 政吾社長に
抹茶づくりの神髄を伺いました。
株式会社 山政小山園
代表取締役社長 小山政吾
「美味さ、ありき」(うまさ)を原点に抹茶づくりに邁進
お茶は人が生きていくうえで必要不可欠なものではありません。
生きていくうえでエッセンシャルなものではなく、生活を豊かにするために飲まれるものですから、私たちは、お茶は美味しくなければ意味がないと考えています。
代表的な緑茶である煎茶は露地栽培(ろじさいばい)で日光をたっぷり浴びさせて育てます。それに対して抹茶の原料である碾茶(てんちゃ)は収穫前に茶園に日光を遮る覆いをかける被覆栽培(ひふくさいばい)で育てます。肥料をたっぷり施すことと、適切な時期に日光を遮る被覆を十分 にすることが、良質な碾茶を栽培するための大切な要素です。
茶葉の摘み方も味を左右します。大きくは手摘みと機械刈りに分けられ、最高品質の抹茶は熟練者の手摘みした新芽から生まれます。収穫された茶葉を蒸して乾燥したものを「荒茶」と言い、この荒茶から茎や葉脈の部分(出物)を丁寧に選り分け、柔らかく味の良い葉肉部分だけを石臼で挽いたものが抹茶です。
このように、抹茶は摘採した生葉を選別して挽き上げるだけの、大変シンプルな食品です。ですから、原料茶葉の品質が抹茶の品質に直結します。美味しい抹茶をつくるためには、加工や製造方法だけでなく、その栽培や原料茶葉の特徴まで熟知していなければなりません。
山政小山園は江戸初期に宇治・小倉の地で茶の栽培と製造を始めて以来、現在でも自園をもつ数限られる抹茶メーカーです。茶栽培から挽き上げまで一貫して行いながら、どうしたら美味しい抹茶ができるかを代々追い求めてきました。
抹茶の味と品質を決める五感を研ぎ澄ませた審査
質の良い抹茶をお客さまにお届けするうえで欠かせないのが、生産過程での審査です。 まず、荒茶の段階での「外観審査」で茶葉の品質を大まかに分類していきます。次に、加工が進んだ段階ごとに「内質審査」をしていきます。これは通常のお茶を淹れるように、湯で出した茶の色合いや味を評価していきます。6グラムの茶葉を60度のお湯で4分間出すという長年の経験で導き出した独自の審査方法で、それぞれの碾茶 を評価していきます。抹茶は茶葉を粉末にしたものですから、葉の色合いが抹茶の色に大きく関わってきます。湯で出した後の茶葉の色合いや艶を観察することも重要な審査です。
上質なものほど青み(緑色)が濃く、旨み(甘味)が強く苦渋みが少ない、良い香りが立っているなどと一般的には評価できますが、味は濃いが香りが少し弱い、味はやや薄いけれど「みる芽(若い芽)」の香りがするなど、茶葉にはそれぞれ特徴があります。 その特徴をうまく組み合わせてブレンドし、提供する商品に相応しい美味しさにしていくのが茶師の役割です。五感を研ぎ澄ました感性と、培った知識と経験だけが頼りの世界です。
斜め型ミキサーで、
美味しい抹茶を気軽に楽しんでもらいたい
ありがたいことに、抹茶は海外のお客様にも人気が高く世界的にブームになっています。乳製品や糖分にもよく合う香りと味わい、そして健康効果が期待できることがその理由でしょう。個人的には、抹茶とアイスクリームの相性は抜群だと思っています。
茶道のお茶会だけでなく、ミルクと合わせてラテとして楽しんだり、ケーキや菓子の風味付けに加えたりなど、抹茶に親しむシーンは多様化しています。
山政小山園では茶道の各御家元より茶銘を頂戴した抹茶から食品加工用の抹茶まで、楽しみ方に合わせた多様な商品をご提供しています。加工用だから安価なものを大量生産したらいいではなく、抹茶を加えることによってそのお菓子なり、スイーツの価値が大幅に上がると感じていただけるような抹茶をご提供しなくてはいけません。それは「お茶は美味しくなければ価値がない」という私たちが代々受け継いできた信条であり、一時のブームで終わらせない抹茶の持続的な発展を支えるものだと考えています。
タイガー魔法瓶さんの斜め型ミキサー「TIGER EDGE」は、従来のミキサーでは難しかった抹茶の攪拌がとてもうまくでき、美味しい抹茶ラテが手軽につくれます。抹茶を飲みたいけれど点てるのが大変と感じておられるお客さまはたくさんおられるでしょう。
「 TIGER EDGE」は、そんなお客さまと、美味しい抹茶を日常生活の中で気軽に楽しんでほしいと願う私たちとの、橋渡しの役割を果たしてくれると大いに期待しています。
斜め型ミキサーが拓く抹茶の可能性
タイガー初の斜め構造で高い切削能力や撹拌力を実現した「TIGER EDGE」。
小山取締役との対談で、世界的にブームとなっている抹茶の楽しみ方がさらに広がる可能性を感じました。
(聞き手:タイガー魔法瓶 小幡社員)
抹茶の点(た)て方の常識を覆す 画期的なミキサー
小幡社員(以下、小幡):この度は抹茶プロモーションにご参画いただきありがとうございます。最初にご興味を抱かれた理由は何でしょうか。
小山取締役(以下、小山):抹茶は茶碗で一服ずつ点てて飲むスタイルから、抹茶ラテなどをたくさんの人と楽しむスタイルへと変化しています。私たちはテーブルで気軽に抹茶を楽しんでいただくための様々なレシピやアイディアを考案してきましたが、大きな壁になったのは、一度に多量の抹茶をうまく点てられる道具がなかったことです。
小山:ミキサーのような容量のある器で、一度にたくさんの抹茶を上手に撹拌できるといいのに…、と常々思っていたのです。 そんなときに、お茶づくりや商品開発について情報交換をする関係があったタイガー魔法瓶 から攪拌力の優れたミキサーが発売されたとお聞きして、材料を持って伺いました。試したところ、6人分ほどの抹茶ラテが簡単にできました。これはいいぞ!と思い、抹茶ラテなどのシンプルなドリンクからスムージーやケーキといったスイーツまで、幅広いメニューを提案させていただきました。
小幡:ありがとうございます。それが今回のコラボレーションにつながったのですね。従来のミキサーでは抹茶の攪拌は難しかったのですか?
小山:実は、ミキサーと抹茶はあまり相性が良くないのです。抹茶のパートナーである茶筅は細かな竹の穂先で、器に入れた湯と抹茶を切るように往復させる振動系で攪拌します。ミキサーやミルクフォーマーなど回転するもので攪拌すると粉体が外側に飛び散ったり、上部に舞い上がってうまく攪拌できません。
小山:しかしこの「TIGER EDGE」(以下EDGE)は斜めに刃があり低速から高速までゆるやかに攪拌スピードを変えることができるため、うまく攪拌できます。特に低速にして水を撹拌するとよくわかりますが、液体が外へ飛び散るのでなく、内側へ巻き込むように練り混ぜるような水流となり、粉体でも上手く液体と混ぜ合わせることができるので、抹茶がダマにならずとてもうまく攪拌できます。
小幡:このミキサーは刃を45度の角度にすることで、上下に巻き込む3つの異なる水流が発生し、それにより高い攪拌力が実現しました。そのため抹茶のような微粉体もよく攪拌できるのだと思います。
小山:EDGEは、茶筅を使用した伝統的な抹茶の攪拌方法とは異なりますが、まったく新しい方法でたくさんの抹茶を一度に点(た)てることができる、画期的なツールだと思います。
キッチンにマッチする洗練されたデザインと従来のミキサーにはない性能
小幡:一級建築士であり、デザインにお詳しい小山さまは、初めてこのミキサーをご覧になられたとき、どのように感じられましたか?
小山:とても完成されたデザインというのが第一印象です。“斜め”というコンセプトを大切にしながら、ブラックのすっきりしたフォルムで、おしゃれなキッチンにもマッチするインテリア性があると思いました。世界的に著名なデザイン賞を受賞されていることを知って納得しました。
小幡:おかげさまでこの製品は「iFデザイン賞」を受賞することができました。この賞は1953年に創設され、ドイツの「レッドドット・デザイン賞(red dot design award)」、アメリカの「IDEA賞(International Design Excellence Award)」と並び、世界三大デザイン賞の一つと言われています。「iF」ロゴは「優れたデザインの証」として世界で広く認知されているようです。先日は 日本のグッドデザイン賞もBEST100を受賞いたしました。
小山:それはおめでとうございます。デザインの良さはもちろん、横にスライドして簡単に着脱できるカップなど、使いやすさにも気を配られていますね。
小幡:従来のミキサーは高さがあるので、使った後は仕舞われがちだったのですが、 EDGEはローフォルムで、設置場所を選ばずに使用できる引き出しタイプの容器 で使いやすさを高めています。45度を強調した後ろの斜めカットフォルムは、奥行きの寸法を抑えながら、放熱機能を成立させる工夫です。 黒くてマットな質感は、キッチン道具のような佇まいを目指しました。ミラーの部分は、カップの中が反射するようにして、デザインによるおいしさの表現にもこだわりました。
小山:このデザインにはたくさんの工夫とアイディアが詰まっているのですね。私は、この斜めの刃と回転数の無段階調整により、大きな果物などを難なく粉砕するダイナミックさと、練り混ぜるように攪拌する繊細さが両立され、様々なレシピの可能性を感じました。斜めに刃を回すというのは、どのような発想から生まれたのですか?
小幡:刃が下について水平に回転する従来のミキサーの場合、カップの上部は竜巻のような渦で回転するため攪拌力が弱くなります。また、切削機能も例えばニンジンなどの硬い食材は包丁で細かく切って入れなければいけないなどの下準備が必要でした。
小幡:硬い食材を丸ごと投入してもダイナミックに切削でき、かつ攪拌性に優れたミキサーにするにはどうすれば良いか、その発想で開発したのがこの斜め型ミキサーです。 刃を45度の角度にすることで、攪拌力と切削力を最大限に高めることができました。
もう一つ、従来のミキサーにはない特長は、カップの内側に突起(リブ)がないことです。突起には回転している食材を刃の方に戻すという役割があるのですが、斜め回転にすることで突起は必要なくなりました。カップに凹凸がないので洗いやすくなりました。またカッターの刃を従来より厚くしており、切削効率の良さと組み合わせることで、従来のミキサーでは禁止されていることもある冷凍フルーツを解凍せずにそのまま投入して調理していただけます。
コーヒーに替わるビジネスドリンクとして
注目される抹茶
小幡:EDGEを使った抹茶の楽しみ方を教えていただけますか?
小山:まずは、当社の上級抹茶※をたっぷり使用した、本格抹茶ラテを家族やご友人と一緒に楽しんでください。同時に6人分程度の抹茶ラテをつくることができるので、一度にたくさんのお客様用のドリンクにも最適です。
※手摘みの京都府産一番茶を使用した原料(100%)を、丁寧に石臼挽きで仕上げた、旨みと覆い香が濃厚な宇治抹茶
小幡:それは楽しそうですね! 抹茶は海外でもブームとお聞きしましたが、何かきっかけはあるのでしょうか?
小山:長く続いた外出を控える社会情勢時に高まった健康ニーズに加え、世界から日本に来られる旅行者の方が美味しい抹茶を体験して自国に戻られることが全世界的なブームのきっかけではないかと考えています。
小幡:確かに、京都で抹茶を楽しんでいる訪日観光客の方をよく見かけますね。
小山:抹茶に含まれるカテキンや食物繊維などの健康期待効果※はもちろん、カフェインによる覚醒効果※が旨み成分テアニンによって、なだらかに続くことが期待され※、コーヒーに替わるビジネスドリンクとしても注目されています。また、鮮やかなグリーンのファッション性にも魅力を感じていただいているのだと思います。EDGEは、様々な健康効果※が期待できる抹茶を美味しく楽しく、もっと簡単に生活に取り込むツールとして最適ではないでしょうか。
小幡:EDGEで抹茶を楽しむブームがさらに広がると嬉しいですね。
※効果・効能を保証するものではありません。
上級抹茶の本格的なドリンクやスイーツを
ぜひ手軽に楽しんでください
小幡:今回たくさんのレシピを開発してくださいましたが、工夫していただいたことや、おススメのポイントなどはありますか?
小山:レシピは誰でも美味しく楽しめる抹茶の濃度に調整していますが、山政小山園の上級抹茶は苦渋みが少ないので、少しリッチに入れても香り高く旨みを感じて美味しく楽しんでいただけると思います。追い抹茶は上級抹茶ならではの楽しみ方です。
小幡:私も抹茶ラテをいただいてみて、すごくまろやかな風味に驚きました。また、チーズケーキタルトをレシピどおりに会社で作って試食したのですか、素人の手作りとは思えないような美味しさでした。抹茶を加えることで、こんなにプロの味になるんだ、と感動しました。
小山:EDGEならたくさんの粉体であっても、上手に攪拌できますし、大きなものもしっかりと粉砕できます。時短で手間なく抹茶スイーツを楽しんでいただけるはずですよ。
小幡:EDGEでつくる抹茶を通じての食の魅力を存分に引き出してくださって、ありがとうございます!
タイガー魔法瓶
開発チーム副主事 小幡 享史
設計(構造設計・3Dデータ作成)、モデル試作品での構造検討・試験(性能・調理)など、新商品の構造検討から金型発注までの業務を担当。
山政小山園
沿革
江戸初期に宇治・小倉の地で茶の栽培と製造を始め、
1861年(文久元年)に初代小山政次郎が茶の販売を開始。
茶園の経営から茶の製造販売までを行う。
二代小山政次郎が卸売業を開始、全国に販路を広げ、
緑茶全般の製造・加工・卸売業を展開する。
茶道界各流派に茶銘を賜り、特に高級抹茶を強みとする。